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解題・説明
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黒柿の材を蘇芳で染め、金銀で山水飛鳥図を描いたもの。本学所蔵品は、蓋・側面の四面・押縁のそれぞれに山水図・飛鳥・瑞雲文を描く。箱身の裏面には、金泥で「於 東大寺浄華精舎 包春摹之」と書いてある。 オリジナルは、正倉院中倉に納められている「黒柿蘇芳染金銀山水絵箱」である。蓋の一部・身・床脚はほとんど後補であり、彩色がない。黒柿蘇芳染金銀山水絵箱の模造品は東京国立博物館にも存在しており、昭和七(1932)年に吉田包春が製作し、納入したことが分かっている。東京国立博物館所蔵品は、現物との法量にほとんど差はなく、彩色がない部分も同様であることから現状模造である。一方、本学の所蔵品は、失われている部分を包春が描いた復元模造品である。旧帝室博物館が正倉院宝物の模造品製作を吉田包春らに依頼したのは昭和五(1930)年であるが、本学には昭和三年にすでに納められていることから、帝室博物館に正倉院模造宝物を収めるよりも以前に、吉田包春は現物を見る機会があったことが分かる。
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