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解題・説明
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木製の箱の中に、紅牙棊子四点、紺牙棊子四点、紅牙撥鏤手板一枚、玳瑁螺鈿手板一点が納められている。本来棊子は、紅牙・紺牙ともに五点あったと考えられるが、現在はそれぞれ四点しか残っていない。また紺牙撥鏤棊子は退色が著しい。 紅牙撥鏤手板は、撥鏤尺を製作する前のテストピースとして造られたものである。縦3.5 cm、横6.1 cm、厚さ0.2 cmの赤く染めた象牙表面には、両側に花文様が描かれ、中央には広がる角を持つ花鹿が描かれている。左側の花には二羽の蝶が舞う。 玳瑁(たいまい)螺鈿手板は、縦5.3 cm、横6.5 cm、厚さ0.1 cmの玳瑁(タイマイの甲羅)の素地にヤコウガイの螺鈿を嵌入し、宝相華を表現し、細かな毛彫りを施す。中央には琥珀が嵌入されている。これは、正倉院中倉に納められている玳瑁螺鈿八角箱第19号の身側面にある六弁の唐花文を模したものと考えられる。 これらは一つの箱に収められており、箱裏に「東大寺住 吉田包春(花押)」の描金銘がある。
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