解題・説明
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正倉院南倉に伝わる黄金瑠璃鈿背十二稜鏡は、背面を七宝釉で装飾しており、唐代の七宝鏡として唯一のものとされている。本学にはその模造鏡(No.5)を蔵するが、作者が誰なのは不明であった。模造鏡には鏡を立てる台が附属しており、その裏に「於東大寺雑華林 吉田包春造」と墨書されていることから、台が包春の手になることだけは分かっていた。吉田家からこの「十二稜鏡下絵」の寄贈を受け、吉田包春が幼少の頃、金工刀装の名人・谷森真男に師事し、修業を積んだという経歴を教えて頂き、本学が所蔵する模造鏡が吉田包春の手になることが判明した。
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