那須塩原市は首都圏から150キロメートルの栃木県の北部に位置しており、黒磯市、那須郡西那須野町、塩原町の新設合併により発足しました。市の面積の半分は、那須火山帯に属した湯量豊富な塩原温泉郷や板室温泉、三斗小屋温泉をはじめ、箒川沿いの四季折々に彩を見せる塩原渓谷や沼ッ原湿原を代表とした観光の名所となる自然豊かな山岳部が占めています。
残りの半分は、北側を那珂川、南側を箒川に挟まれた緩やかな傾斜の扇状地で、JR東北新幹線と宇都宮線の那須塩原、黒磯、西那須野の各駅周辺と国道4号と国道400号沿いに市街地が形成されています。
また、酪農も盛んで、生乳の粗生産額が本州第1位(全国第2位)を誇っています。(※2020年時点)
那須疏水は安積疏水、琵琶湖疏水と共に日本三大疏水の一つに数えられる飲料・農業用水を供給する用水路です。この疏水は1885年(明治18年)に県令三島通庸や地元有志により短期間で本幹水路が開削されました。
旧取水施設は、当時の状態を良好に残しており、近代における大規模水利施設の取水システムの構造を知るうえで価値が高いものとして、平成18年(2006)に、東水門、西水門、導水路、余水路が国の重要文化財に指定され、その後の測量調査の結果、平成29年(2017)に東隧道(ずいどう)、西隧道が同じく重要文化財に追加指定されました。