地域を空間の広がりの中で理解するのに不可欠なのが地図ですが、近代的な測量法の導入前に概念的に描かれたものは絵図と呼ばれ、ここにはそれらも近代以降の地図とあわせて収録しています。江戸期から明治期までしばしば作成された一村全体の絵図は、その多くが個々の耕作地を描き分けたもので、地租の徴収のため土地台帳と連動して使用されました。絵図はそのほかにも、河川・用水の管理や、村・漁場・猟場等の境界確定、災害時の被災状況の説明など、さまざまな目的のために作られました。こうした絵図は、各地の役場や村役人を勤めた人の家に伝わってきました。