加藤が1937年から1942年5月にかけて、すなわち17歳から22歳にかけて書き綴った8冊の冊子型ノートがある。われわれはこれを「青春ノート」と名づけた。「青春ノート」には、短編小説、詩歌、評論、随想、日記、警句などが綴られる。加藤が思索したことが記されるが、そのいくつかはのちの加藤の著作に発展継承されていく。たとえば「一九四一年十二月八日」という表題の日記がある。そこには太平洋戦争が始まった日の大学内の様子や、教授陣の態度や、加藤が考え感じたことが述べられており、これは加藤を知る上で重要であるばかりではなく、歴史的な資料としても貴重である。