本ノートは1960年代中頃に採られたノートであり、《Notes on Arts》と英語表記されるが、主題は日本美術史に関するノートである。加藤の日本美術史研究は1960年代に本格的に始まり、本ノートは日本美術史研究を進める過程で採られた。本ノートには加藤が見て歩いた仏像彫刻や源氏物語絵巻についての記述があり、加藤自ら描いた図も含まれる。このノートから「仏像の様式」(初出『芸術論集』1967)や「『源氏物語絵巻』について」(初出『東京新聞』1965)や「日本の美学」(初出『世界』1967)が著わされる。この三つの論考は、加藤の日本美術史研究にとっては大きな意味をもち、これによって日本美術史研究の基本的な枠組みをつかんだ。