加藤が中国を初めて訪れたのは文化大革命が進んでいる最中の1971年のことであった。その後何回となく中国を訪問することになるが、本ノートは、二回目の二週間にわたる中国訪問のときに日記風に綴られたノートである。訪れた地は、上海、広州、桂林、大同、北京などであるが、各地で目の当たりにした、文革前と文革後の中国社会の有様の比較を記す。また『白毛女』という芝居や『江姐』という歌劇を観る。桂林では南画を想起し、大同では石窟を訪れる。そればかりではなく、北京では北京医学院を訪れ、中国医学に大いに関心をそそられたことが綴られる。各地で革命委員会幹部にインタヴューしており、中国の経済状況や学校制度などについての記述が多くみられる。