本ノートは『日本文学史序説』を執筆するために採られたノートであるが、表題名にかかわらず、近代日本文学史に集中する。加藤が近代日本文学史を見る方法は主として「世代論」によっている。すなわち、1868年の世代、1885年の世代、1900年の世代が中心となる。1868年の世代には、幸田露伴、泉鏡花、鈴木大拙、柳田国男、正岡子規、夏目漱石、森鷗外らを中心に採りあげる。1885年の世代として、谷崎潤一郎、中里介山、木下杢太郎らを中心に書かれ、1900年の世代として芥川龍之介に関するノートとなっている。要するに『日本文学史序説』の第10章「第四の転換期」、第11章「工業化の時代」の執筆のためのノートである。採られた時期は1970年代だろう。