本ノートは近代日本文学の背景となる近代日本思想史、ことに明治から昭和前半にかけての近代日本思想史に関する記述がみられる。表題には「文明開化」「明六社」「自由民権運動」「初期キリスト教」「農本主義」といった項目が立てられている。一方「明治原始資本蓄積」や「19世紀米収穫量」といった経済関係項目も立っており、『日本文学史序説』各章の冒頭にはその時代の社会経済的背景が述べられていることと符合する。加藤へのマルクス主義の影響を認めることができる。作家としては、島木健作、大川周明に関心を寄せていたことが分かる。《Japanese Literature (MODERN) Va》と対になるノートであり、『日本文学史序説』の母体となったノートである。