本ノートは鎌倉時代から江戸時代にかけての仏僧たちの活動や思想に関する記述が基本に据えられている。ノートに採られる仏僧では、道元、親鸞、日蓮に多くの頁を割いているが、ほかにも無住、盤珪禅師、鈴木正三、澤菴、白隠、虎関師錬、中厳圓月などの記述がみられる。使用される言語は、日本語、漢文、ドイツ語で書かれる。漢文は白文で書かれていて、加藤の漢文の素養をうかがい知れる。またノートの内容とノートの材質から判断して、本ノートが採られた時期は、1970年代初め、すなわちベルリン自由大学時代だったろうと推測される。加藤の仏教史研究は長く、かつ幅広い。このノートの内容も『日本文学史序説』に活かされている。