「死」と題されたノートは、主としてイェール大学時代(1974- 1976)に採られたノートである。1975年の日付けの入った頁もある。同大学に赴任中、精神医学のロバート・リフトンやマイケル・ライシュとともに日本人の死生観に関する研究会をもっていた。その研究が『日本人の死生観』(上・下)(岩波新書、1977年、翻訳は矢島翠)および《Six Lives, Six Deaths》 (Yale University Press, 1979)に結実する。同書に採り上げられた「三島(由紀夫)」「(正宗)白鳥と河上肇」「中江兆民」といった項目のほかにも「宣長遺言」「江戸の文人と死」「曽根崎心中」「石田梅岩」「山本常朝 葉隠」といった項目もある。研究会のためのノートであり、大半は英語で採られている。