「日本史(Ideen. Werte)」と題されたファイルはふたつあり、その「Ⅰ」は使用用紙と言語から類推するに、ヴァンクーヴァー時代(1960年代)からベルリン時代(1970年代初め)にかけて採られたノートであろう。ノートは体系的に採られているわけではなく、基本的用語の確認と加藤が関心を持っていた事項がアトランダムに記されている。大学の講義のためのノートだろう。「日本人の起源」「封建制」というような標題もあれば、「マルクス主義」「Weber」「学問」といった基本概念も標題に採り上げられる。その他にも加藤の問題関心に沿って、「宗教と労働倫理」「宗教の発展段階」「SHINTO 彼岸思想」といった表題のノートもある。その「Ⅱ」は「Ⅰ」と同様に、ヴァンクーヴァーのブリティッシュコロンビア大学やベルリン自由大学での講義もしくは演習のためのノートだったろう。ノートの大半は英語もしくは独語で記されている。「茶の理論」「中世農民」「一向一揆」「16世紀のキリスト教(日本)」といった標題のノートがあり、加藤の演習の概要が記されたノートもあり、学生のレポートも残されている。これらのノートから、加藤がブリティッシュコロンビア大学やベルリン自由大学で、いかなる講義や演習を行っていたかが見えてくる。その意味では貴重なノートといえるのではないか。