解題・説明
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本ノートは加藤周一の主著『日本文学史序説』や『日本 その心とかたち』のもとになったノートの一冊である。加藤の日本文学史研究や日本美術史研究は、文学や美術という狭い領域に限られていない。たえず広い視野のもと、総合的な視点をもっている。〔徳川〕とわれわれが名づけた本ノートも(加藤は題名をつけていない)、徳川時代の文学や美術を研究するための前提として、まず徳川時代の社会や文化の特徴を押さえるために、その概観を記したノートである。徳川時代の社会や文化の特徴を、個人主義のない「世俗化」と感覚的洗練、そして神仏習合的考え方に見出している。本ノートが書かれた年代は不明なものの、海外の大学で日本文化を講じたときに採られたと考えられ、英文によって綴られた。
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