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さいたま市立大宮図書館/おおみやデジタル文学館 ―歌人・大西民子―
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全短歌(10791首)(資料グループ)
蛾のかたち(目録)
/ 11652ページ
目録ID
ku003015
タイトル. 版. 巻次
蛾のかたち
タイトル. 版. 巻次(カナ)
タイトル. 版. 巻次(ローマ字)
タイトル関連
無数の耳
タイトル関連(カナ)
タイトル関連(ローマ字)
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編著者(カナ)
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デジタル化の経緯に関する注記
/ 11652ページ
関連目録
無数の耳
蛾のかたち
焦臭き髪かと不意に思ほへて首振りて見つ夜風の中に
袖口の毛糸のほつれ見しことも別れ来し夜のかなしみを呼ぶ
蛾の形たたみて壁に貼りつける周囲幾夜も塗りそびれゐる
晩年の父母に及びてありふれし名を持つことも慰めあへり
ベーコンの脂肪層を薄く削ぐ機械体削がるるやうに見てゐつ
ビルの影となりし広場を人よぎり救急箱の白きを運ぶ
リヤカーを呼びとめたれば少年は地に筆算して柿売りゆけり
投槍の打ち込まれたる地表より見えぬ亀裂は八方に散る
ふたたびの忌の夜に恋へば耳鳴りの薬など点して堪へゐたる母
ふつふつと酵く木の実酒亡き母が残しゆきたるもの限りなし
あたたかき計らひのごと月さして耳裂かれ来し犬を歩ます
夜の水は土手の切れめに光りゐて未詳の箇所を嘗て怖れき
夜の空に雲の亀裂をちりばめて明るき月はいづこを渡る
安らかな眠りはあれよ持てる田の輪郭に稲架を掛けめぐらして
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無数の耳
蛾のかたち
焦臭き髪かと不意に思ほへて首振りて見つ夜風の中に
袖口の毛糸のほつれ見しことも別れ来し夜のかなしみを呼ぶ
蛾の形たたみて壁に貼りつける周囲幾夜も塗りそびれゐる
晩年の父母に及びてありふれし名を持つことも慰めあへり
ベーコンの脂肪層を薄く削ぐ機械体削がるるやうに見てゐつ
ビルの影となりし広場を人よぎり救急箱の白きを運ぶ
リヤカーを呼びとめたれば少年は地に筆算して柿売りゆけり
投槍の打ち込まれたる地表より見えぬ亀裂は八方に散る
ふたたびの忌の夜に恋へば耳鳴りの薬など点して堪へゐたる母
ふつふつと酵く木の実酒亡き母が残しゆきたるもの限りなし
あたたかき計らひのごと月さして耳裂かれ来し犬を歩ます
夜の水は土手の切れめに光りゐて未詳の箇所を嘗て怖れき
夜の空に雲の亀裂をちりばめて明るき月はいづこを渡る
安らかな眠りはあれよ持てる田の輪郭に稲架を掛けめぐらして