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さいたま市立大宮図書館/おおみやデジタル文学館 ―歌人・大西民子―
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全短歌(10791首)(資料グループ)
引き潮(目録)
/ 11652ページ
目録ID
ku004010
タイトル. 版. 巻次
引き潮
タイトル. 版. 巻次(カナ)
タイトル. 版. 巻次(ローマ字)
タイトル関連
花溢れゐき
タイトル関連(カナ)
タイトル関連(ローマ字)
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編著者(カナ)
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/ 11652ページ
関連目録
花溢れゐき
引き潮
とめどなく売子木の花降る言葉より溺れてゆきしかの日のごとく
フラスコのかたちに青き霧を溜め何たくらみてゐし夢ならむ
崖下にしづまれる家日曜の今朝はたれかがゐて釘を打つ
仔犬のためみづからのため透明の鉢にゆたかに水を張りおく
長命の手相もさびし新しき楽譜幾枚われに届きて
沼見ゆる窓ぎはに立つをりふしに水の匂ひを嗅ぐことのあり
時の間のこころゆるびに傷つけし小指の先に血潮あつまる
眼帯をはづしし視野に入り来ていつより黄ばむ梔子の花
占なひのあたる日ありて訪ね来し人の言葉をねんごろに聞く
渡されし遺髪の信じがたきまま過ぎし二十年を今にして言ふ
足垂れて鈍色の烏賊売られゐついづこ行きても梅雨雲の下
夕焼けがまぶしグアムに果てむとし何の光を最後に見しや
石を積む作業のつづく道のほとり焚き火の跡のしるく匂へり
たえまなく動かされゐる木馬見つ古りし木馬はをりをり憩ふ
ポケットよりこなごなになれる枯れ葉出づ短く過ぎし逢ひと思ふに
風巻きて荒れ野のごとき街の角陶のバナナをウインドウに置く
ゆとりある仕事のごとく一つ一つ花輪ほぐしゆく少年のさま
如何ならむ過去の苛みボンゴの音聞こえて眠れぬ夜のあるを言ふ
なまぬるく素足を洗ふ磯波にまたあてのなき思ひ差し来る
逆波の光れる海に日もすがら向きゐてわれは岩にもなれず
つぶさなる敷闇は来よ引き潮にむきだしとなる岩のさびしさ
水そそぐ音に夜すがらたゆたひて何のかたちにわれは固まる
肩重き感じ残りてめざめつつ濡れたる旗のしたたりやまず
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花溢れゐき
引き潮
とめどなく売子木の花降る言葉より溺れてゆきしかの日のごとく
フラスコのかたちに青き霧を溜め何たくらみてゐし夢ならむ
崖下にしづまれる家日曜の今朝はたれかがゐて釘を打つ
仔犬のためみづからのため透明の鉢にゆたかに水を張りおく
長命の手相もさびし新しき楽譜幾枚われに届きて
沼見ゆる窓ぎはに立つをりふしに水の匂ひを嗅ぐことのあり
時の間のこころゆるびに傷つけし小指の先に血潮あつまる
眼帯をはづしし視野に入り来ていつより黄ばむ梔子の花
占なひのあたる日ありて訪ね来し人の言葉をねんごろに聞く
渡されし遺髪の信じがたきまま過ぎし二十年を今にして言ふ
足垂れて鈍色の烏賊売られゐついづこ行きても梅雨雲の下
夕焼けがまぶしグアムに果てむとし何の光を最後に見しや
石を積む作業のつづく道のほとり焚き火の跡のしるく匂へり
たえまなく動かされゐる木馬見つ古りし木馬はをりをり憩ふ
ポケットよりこなごなになれる枯れ葉出づ短く過ぎし逢ひと思ふに
風巻きて荒れ野のごとき街の角陶のバナナをウインドウに置く
ゆとりある仕事のごとく一つ一つ花輪ほぐしゆく少年のさま
如何ならむ過去の苛みボンゴの音聞こえて眠れぬ夜のあるを言ふ
なまぬるく素足を洗ふ磯波にまたあてのなき思ひ差し来る
逆波の光れる海に日もすがら向きゐてわれは岩にもなれず
つぶさなる敷闇は来よ引き潮にむきだしとなる岩のさびしさ
水そそぐ音に夜すがらたゆたひて何のかたちにわれは固まる
肩重き感じ残りてめざめつつ濡れたる旗のしたたりやまず