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さいたま市立大宮図書館/おおみやデジタル文学館 ―歌人・大西民子―
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全短歌(10791首)(資料グループ)
化身(目録)
/ 11652ページ
目録ID
ku004024
タイトル. 版. 巻次
化身
タイトル. 版. 巻次(カナ)
タイトル. 版. 巻次(ローマ字)
タイトル関連
花溢れゐき
タイトル関連(カナ)
タイトル関連(ローマ字)
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編著者(カナ)
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/ 11652ページ
関連目録
花溢れゐき
化身
届きたるウイーンの地図をひろげつつ旅ゆく人の背を恋ひゐたり
辞書のたぐひ聖書もありてくぐもれる和音のごとくわれをとりまく
目に見えぬ葛藤を身にくりかへし灯にかざす手も薄くなりたり
幼くて父を失ひし日のみぞれ今に憶えゐて妹の言ふ
木洩れ陽のかげりては射し一つ一つの恩誼といふに疲るる日あり
残されむひとりのために死も難し南天の花ゆさぶりて見つ
あぢさゐはうすくれなゐの返り花鎮まりかねて出でゆくものを
木の洞にいつまであらむ翅たたみ押し葉となれる蝶の一枚
血圧の昇るきざしかまなかひに風花の舞ふごとき野を行く
錫いろにくれゆく空を遠ざかり生きて帰らむ鳩と思はず
すきとほる化身などにてさまよはむわれと思へば寂し死の後も
竪琴の弾き手のをとめ昨夜見たる輝きに遠くバスを待ちゐつ
混信し切れたる電話思はざる呪縛となりて暑き日のくれ
意表を突くことも言ひ得ず帰り来てレタス幾ひら真水にひたす
指先に芥子の花湧く幻覚をふたたび待ちて告ぐることなし
いづくにかまだ母はゐてわがために粽の葉など摘めるならずや
みづからの問ひも答へもおのづから定まるに似て夜の雨の音
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花溢れゐき
化身
届きたるウイーンの地図をひろげつつ旅ゆく人の背を恋ひゐたり
辞書のたぐひ聖書もありてくぐもれる和音のごとくわれをとりまく
目に見えぬ葛藤を身にくりかへし灯にかざす手も薄くなりたり
幼くて父を失ひし日のみぞれ今に憶えゐて妹の言ふ
木洩れ陽のかげりては射し一つ一つの恩誼といふに疲るる日あり
残されむひとりのために死も難し南天の花ゆさぶりて見つ
あぢさゐはうすくれなゐの返り花鎮まりかねて出でゆくものを
木の洞にいつまであらむ翅たたみ押し葉となれる蝶の一枚
血圧の昇るきざしかまなかひに風花の舞ふごとき野を行く
錫いろにくれゆく空を遠ざかり生きて帰らむ鳩と思はず
すきとほる化身などにてさまよはむわれと思へば寂し死の後も
竪琴の弾き手のをとめ昨夜見たる輝きに遠くバスを待ちゐつ
混信し切れたる電話思はざる呪縛となりて暑き日のくれ
意表を突くことも言ひ得ず帰り来てレタス幾ひら真水にひたす
指先に芥子の花湧く幻覚をふたたび待ちて告ぐることなし
いづくにかまだ母はゐてわがために粽の葉など摘めるならずや
みづからの問ひも答へもおのづから定まるに似て夜の雨の音