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目録ID ku007032
タイトル. 版. 巻次 岸辺かここは
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風水
岸辺かここは
大方は忘れて過ぐる死者にしてかすかにわれを縛ることあり
葉がくれに朴は花咲きひとすぢの水の流れのごとく匂ひ来
着替へして出でゆく用のあるはよし朝の声音に鳥も鳴くなり
コンサートのための暗譜をしてゐたり夢に出で来し少女のわれは
何をして冬を越ししや畦道は幅いつぱいに若草のいろ
山越えてあがる凧ありうら若き父とその子の走るならずや
くぐもれる声に鳴きつつゐる鳩の飛びたつときに音あらあらし
男言葉女言葉のけぢめなく語らひゆけり若き人らは
まる見えに立ちて一日働くはつらからむ白のハイヒール履く
いきいきとレジ打つさまに見とれしがうとむにもあらずわれの職場を
立ち退きの終れる広き工場跡古りし祠のありて残さる
母ならで聞くはうとまし幼な子のあたりかまはぬ声に泣くなり
遠き日に失ひてをり買物籠をみたして帰るよろこびなども
針金の錆びてまつはる垣などを予想してゐるわれかと思ふ
をりをりに炎あげつつ野火は燃え暮れゆく山のたちまち黒し
新幹線は動かずと言へり春雪に阻まれてしまふ逢ひなどあらむ
盤をかこみ老いし人らのなす遊び球はぶつかりにぶき音立つ
三十年経て忘られず道だけが残りてゐたる空中写真
予測してゐたる通りに告げられて飛びのくやうな思ひをなせり
トルソーの胸にも深く響きゐむガラス戸に鳴る木々の嵐は
計算器のボタン押しつつ思ひ出づ暗算に母はひいでいましき
職場は地獄などと思ふにあらねども穴より出でしごとくに歩む
つながねば見えぬ星座もさびしけれおぼろに高き春の夜の空
ひさびさの休日の朝わが庭の羊歯はけぶらふさまに茂りぬ
隠し絵の女の顔に見覚えのありてやさしく春の夜をゐる
飲み慣れし薬といへど散りやすくガラスの粉のやうなざらざら
振り向けば壁に立つ影声もなし流れ着きたる岸辺かここは
地球ごと滅ぶるは何時砂をゑぐる駱駝の足を画面は捉ふ
跳びはねて帰りゆきしがあやつりの狐も今は眠れるころか
どのやうに生きても一生繭なさぬ糸を吐きつぐ一生もあらむ
骨として埋めらるるまで幾日か死にたらむ後もいまいましけれ