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目録ID ku010018
タイトル. 版. 巻次 同じ魚の名
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光たばねて
同じ魚の名
木石にあらねばとたれの言ひにけむ笹を鳴らして春の雨降る
あいまいに言はれしのみに足どめに会ひたるひと日暮れゆかむとす
山葵いろの和菓子ひと棹賜ひたり界を隔てしはらからのため
女子大はひつそり今も在りしとぞ若草山を燃す日に行けば
源氏物語宿木のなかの古女ふるをんなとは老いたるをんな
寮生はみな若かりき同じ魚を別の名に呼び譲ることなく
コンピューターに笑はされたるモナ・リサはもう亡きわれの妹に似ず
鳩あまた空に放ちて終へにしが幾日か経てひつじ雲浮く
春の貝のスパゲティでも召しませと書きたり介護終へたる人に
みづからを鎮めむに振る香水の今日のミツコは少し甘きか
年長けて麝香は使ふと言ひゐしが若き身空にみまかりましぬ
紙屑が幾たびとなく舞ひあがり町に競輪のある日なりしか
木の上の十羽の鴉幾羽まで集まる待ちて地上を襲ふ
咲く花に会ふ日の無くてからたちの分厚き垣根とげだらけなる
ひしと待つ側にのみ居て嘆きしかつらかりにけむ待たるる人も
猟犬を飼ひゐし家はウガンダへなべてさすらふ春三月は
桃いろの色鉛筆もて罫引けば夜の机のはつか華やぐ
いつまでもふさがらぬ部屋を一つ持つ夜のマンション光の砦
やはらかに衿足にくる風のあり囲へる葱もかそかとなりぬ
日本中晴れて黄砂の舞ひしとぞるす守る如くひと日ををれば