/ 11652ページ
目録ID ku011092
タイトル. 版. 巻次 雨衣
タイトル. 版. 巻次(カナ)
タイトル. 版. 巻次(ローマ字)
タイトル関連 形成
タイトル関連(カナ)
タイトル関連(ローマ字)
欧文タイトル
タイトルに関する注記
編著者
編著者(カナ)
編著者(ローマ字)
出版者
出版者(カナ)
出版者(ローマ字)
出版年
出版年終
数量
形状
大きさ
大きさ(縦)
大きさ(横)
材質
形態に関する注記
保存状況
縮尺
その他の注記
言語 日本語
ISBN
ISSN
件名
件名(カナ)
件名(ローマ字)
地名件名
地名件名(カナ)
地名件名(ローマ字)
人名件名
人名件名(カナ)
人名件名(ローマ字)
内容年
内容年終
内容細目
内容細目(カナ)
内容細目(ローマ字)
解題・説明
解題・説明(英語)
来歴
来歴(英語)
所蔵機関
原資料の所在地
資料番号
管理記号
カテゴリ区分 図書
資料種別
資料分類(大分類)
資料分類(中分類)
資料分類(小分類)
文化財情報
manifest.jsonへのURL
参照データ
関連ページURL
関連画像URL
自治体史掲載
出版物・関連資料
翻訳元の言語
権利関係・利用条件
原資料の利用条件
権利関係・利用条件に関する注記
緯度・経度・高度に関する注記
DOI
既刊目録名
デジタル化の経緯に関する注記
/ 11652ページ

関連目録
ナビゲーション リンクのスキップ
形成
雨衣
道標の石濡らしゆく雨の中きほふ菖蒲の白の烈しさ
地下街を通ひ慣れつつわが髪の仮髪のやうに重たき日あり
手に乗せて重さ占ふ結球のレタス含める水はららかす
土管掘る人ら憩へり凹凸のしるき薬罐を焚き火に掛けて
をりをりにサワーグラスを磨きつつ欠け来しセット足すこともなし
針箱に溜まりしボタン亡き父の制服の光るボタンも混る
いきいきと海の色香を取り戻す故郷の若布水に浸せば
祖母の死へ伴はれゆきし思ひ出に坂あり母に手を曳かれゐき
水呑みに戻れる犬も間なく去りこころ鎮めて字劃を数ふ
共に来て仰がむ母も今は亡し曇りに遠き安達太郎の山
石塔の雪を払ひて読む名さへはろけし父母のあらぬふるさと
浪人をせしといふ父祖撃剣に長けゐしことも語り伝ふる
阿武隈の水照る見ればこの丘に埋まりたかりし父母かも知れず
力抜きて歩みゐし時突風の傷をあらはに立つ榎あり
ミノルカの千羽飼ひゐし日を聞けど野はきららかに穂絮飛びかふ
藁草に絡まれ眠るなきがらのわれを谷間に置きて戻りつ
セロハンが先づ燃え表紙の焦げてゆく幻覚を夜のをりふしに持つ
夜の端をサイレンの音渡りゆき引き伸ばされしわが意識あり
咲きたけし白藤が灯に揺れて見ゆこはれし鍵に釘を挿し置く
年々に針の目粗くなりゆくと危ふく衿をつけ終りたり
袖つけの縫ひめに溜まりゐし埃払はむとして体臭を呼ぶ
木枯らしは人買ひの吹く笛の音と聞きつつ母の中に眠りき
亡き母のなしゐしごとく片はしを膝もて抑へ真綿引きゆく
角砂糖沈めゆく間のゆとりにて桐の花咲く野を恋ひゐたり
仕事好きと見做さるる身を悔やまねど銀線草の花も過ぎゐる
皺ぶかき顔に戻れり厩舎に馬ををさめて来し調教師
木の幹にこすりて角を砥ぐといふ雄牛らゆたかに草にまろべり
片肘のもげしマネキン人形が横抱きに運び去らるるを見つ
濡らし来しコート吊りつつまた思ふ肩冷えてバスを待ちし夜ありき
どの巣箱に棲むとも知れぬ小緩鶏のをりをりに来て芝生を渡る