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目録ID ku012012
タイトル. 版. 巻次 野火の村
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短歌
野火の村
靴の先光らせて出づる朝々にひひらぎの花散りはじめたり
洗いたる髪凍らせて帰りしか雪国の夜の記憶も古りぬ
坂道の反射に窓が明るめば間なく至らむ夕べの冷えは
一粒の火種を未だ持つわれと夜もすがらなる風を聴きゐし
乾きゆく髪に残れるレモンの香何に萎へゐし心と思ふ
木鋏を鳴らして冬の枝を断つ芽ぐめる薔薇も容赦なく断つ
繃帯を巻きし足ごと冷ゆる夜はもくろまむ火花撒くかの神事
ウインドウの花の飾りに灯がともりみな月代の青き男雛ら
編み物を教へて暮らす友の来てふくらかに編みし帽子呉れゆく
耳飾りしてゐるわれの写真出づ若くして逸り易き日ありき
ルージュもて咄嗟に書きし伝言の短かき文字を悔いて忘れず
メタセコイヤの木蔭に棲むといふ知らせ死後の便りの如くはろけし
除刑日に生きて再びめぐりあふかなしみに似て鍵束の音
紙幣もて十字架の飾り買へる見つ雪は次第に窓にはげしく
置き石も筧も見えぬくらがりに水の音のみ光り流らふ
青白き馬が炎えつつ現はるる振り向くたびに闇の奥より
砲身の長さを覆ふシート打ち雨音しげし停車の間
防災幕のたるみに溜まりゐし水の歩道に落ちてしぶきをあげつ
片端を地上の杭につなぎたる巻尺を率て人降りゆく
悪霊を逐はむ願ひはわれも持つ夜々に野火焚く村を過ぎつつ
切り株を起こす作業にきほひゐつ壕掘りしこともなき少年ら
忽ちに飯場解かれて枯れ原をつなぐ分厚き橋残されぬ
新しく敷かれし砂利の匂ふ道雨の匂ひに似つつ歩めり
木の洞に斧蔵ひおくことも知りあけくれ森を抜けつつ通ふ
橋桁のほとりまで来て消されたる野火の跡あり踏みつつ帰る
明けやらぬ森を騒立てゐる猟者ひそみてあれよわが野鳩らは
凹凸のはげしき岩も遠ざかる辰砂を溶きし絵皿洗へば
片濁りしてゐる沼を見し日よりオカリナの笛は聞かれずなりぬ
人形の髪の濡れゐる錯覚も過ぎてミモザの水替へに立つ
耳ぎはの髪が吹かれてめざめたりそよぐ木の葉は何方ならむ