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さいたま市立大宮図書館/おおみやデジタル文学館 ―歌人・大西民子―
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全短歌(10791首)(資料グループ)
帰らぬ魚(目録)
/ 11652ページ
目録ID
ku012014
タイトル. 版. 巻次
帰らぬ魚
タイトル. 版. 巻次(カナ)
タイトル. 版. 巻次(ローマ字)
タイトル関連
短歌
タイトル関連(カナ)
タイトル関連(ローマ字)
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デジタル化の経緯に関する注記
/ 11652ページ
関連目録
短歌
帰らぬ魚
噴水に濡るる塑像をふり仰ぐするどき骨をわが身に持ちて
うす青き切符一枚幼な子のレースの胸のポケットに見ゆ
雨のなかに花咲ける日は短かくて合歓の葉先の早く衰ふ
花鋏探しに出でて地にかがみそのまま草を抜き始めたり
幼な子と歩幅合はせて歩むさま遠く見しより憎まずなりぬ
眠られぬ夜々に思へばみづからの羽根抜きて紡ぐよろこびもなし
嗅覚の鋭くなりて野をゆけり霧の向ふに牛の声湧く
道に会ひ連れだちて帰る妹のいだく荷のなかセロリが匂ふ
雨にけむる海見ゆる窓色褪せし紙の桜をいつまでか吊る
キヌバリと呼ばるる魚のすきとほり何のけはひに身をひるがへす
水槽の藻のあたりより暗くなる部屋と思ひて身じろがずゐる
むらがりて岩をめぐれる魚のなか脱けて帰らぬ鮒などあるや
もまれつつ花束の流れゆくを見つ幼きこゑの川上にして
許さずと決めて暫く眠りたり苦しめることも言はずに過ぎむ
耳鳴りの残る寂しさわが髪に黄蜂むらがる夢醒めしあと
何事か否定せむとしバスのなかに次第に激しゆく指話のさま
ぬかるみをよけし刹那につまづきて工事場のライトしたたかに浴ぶ
体温を計られて来て危ふきに水に沈めるスプーン輝く
くたくたになりて目覚めぬ群集のなかに一つの顔を探しゐき
顴骨の高くなりたるわれの顔鏡の奥にも雨は降りつつ
とどまらぬ雲の流れを仰ぎゐて耳のうしろのさわだちやすし
こだはりを持ち歩く身と気づきたりポケットの右手汗ばみてゆく
硝煙の匂ひか遠くよみがへる枯れ葉を飾るほかなき空に
シリユウスを仰ぎて来しがいつまでも揺れやまぬ木々眼裏に見ゆ
秋の夜の炭火匂ひて人の名を灰文字に書くかなしみも過ぐ
ひとりでに鳴るオルガンも古りたらむ風の夜は思ふ山の校舎を
山茶花の咲く日となりて傷つける青のインコも癒えてゆくらし
日だまりにつなぐ仔犬をかまひゆく卵を売りに来るをとめらも
傘のなかに見知らぬわれが歩みゐる雨にまじりて木の実降る道
方角を占はれゐる椅子の上まぶた閉じてもいづこも寒し
降りしきる落ち葉のなかに人のゐて螺旋の階を白々と塗る
少年の鼓笛隊遠く野を行けり取り残さるる打楽器の音
あは雪を降らせてゐるはたれならむ声をひそめて人の行きかふ
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短歌
帰らぬ魚
噴水に濡るる塑像をふり仰ぐするどき骨をわが身に持ちて
うす青き切符一枚幼な子のレースの胸のポケットに見ゆ
雨のなかに花咲ける日は短かくて合歓の葉先の早く衰ふ
花鋏探しに出でて地にかがみそのまま草を抜き始めたり
幼な子と歩幅合はせて歩むさま遠く見しより憎まずなりぬ
眠られぬ夜々に思へばみづからの羽根抜きて紡ぐよろこびもなし
嗅覚の鋭くなりて野をゆけり霧の向ふに牛の声湧く
道に会ひ連れだちて帰る妹のいだく荷のなかセロリが匂ふ
雨にけむる海見ゆる窓色褪せし紙の桜をいつまでか吊る
キヌバリと呼ばるる魚のすきとほり何のけはひに身をひるがへす
水槽の藻のあたりより暗くなる部屋と思ひて身じろがずゐる
むらがりて岩をめぐれる魚のなか脱けて帰らぬ鮒などあるや
もまれつつ花束の流れゆくを見つ幼きこゑの川上にして
許さずと決めて暫く眠りたり苦しめることも言はずに過ぎむ
耳鳴りの残る寂しさわが髪に黄蜂むらがる夢醒めしあと
何事か否定せむとしバスのなかに次第に激しゆく指話のさま
ぬかるみをよけし刹那につまづきて工事場のライトしたたかに浴ぶ
体温を計られて来て危ふきに水に沈めるスプーン輝く
くたくたになりて目覚めぬ群集のなかに一つの顔を探しゐき
顴骨の高くなりたるわれの顔鏡の奥にも雨は降りつつ
とどまらぬ雲の流れを仰ぎゐて耳のうしろのさわだちやすし
こだはりを持ち歩く身と気づきたりポケットの右手汗ばみてゆく
硝煙の匂ひか遠くよみがへる枯れ葉を飾るほかなき空に
シリユウスを仰ぎて来しがいつまでも揺れやまぬ木々眼裏に見ゆ
秋の夜の炭火匂ひて人の名を灰文字に書くかなしみも過ぐ
ひとりでに鳴るオルガンも古りたらむ風の夜は思ふ山の校舎を
山茶花の咲く日となりて傷つける青のインコも癒えてゆくらし
日だまりにつなぐ仔犬をかまひゆく卵を売りに来るをとめらも
傘のなかに見知らぬわれが歩みゐる雨にまじりて木の実降る道
方角を占はれゐる椅子の上まぶた閉じてもいづこも寒し
降りしきる落ち葉のなかに人のゐて螺旋の階を白々と塗る
少年の鼓笛隊遠く野を行けり取り残さるる打楽器の音
あは雪を降らせてゐるはたれならむ声をひそめて人の行きかふ