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目録ID ku012035
タイトル. 版. 巻次 峠のごとき
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短歌
峠のごとき
降りやまぬ雨を見をればわが茎の芦より青く立つことのあり
ゆるやかにレール分れて草のなか穀倉地帯の名も古りむとす
裏道の昼のしづけさローラーカナリアの声などこのごろ聞かず
予告なきもののみにして目の前のマンホールから人の出で来る
バスに行き遠見となればかたまりてあはきみどりをなす梨の花
善悪のかなたのことと慰めて慰めきれず人の歎きは
電圧の変るときのまチアノーゼ色に映れる俳優の口
灯を消してみひらきをれば一定の量の闇にて濃くなるばかり
エンジンをかけて夜通し待ちゐたる船も何をかのせて発ちたり
正面に見たる魚の顔一つ最前列の顔とかさなる
雨のあとの街に湧きたつささめきはわがゐる五階の窓にも届く
階段のひとところ陽の差してゐて少女ら脛を光らせて過ぐ
人だのみの多くなりつつ目に見えて諦め易くわれは働く
いくたびも仕事を替へていとまある職場といふは得ず終らむか
目の前に紙切る見れば左利きと知らで過ぎたり十日余りを
一人前の労働力に還元し励む日萎ゆる日ありてすぎゆく
駆け戻る思ひに夜々を帰り来て机に向ふもあと幾年か
年を経し死者の一人は幾たびもわが夢のなかに来ては死ぬるも
ばらばらのクッキーをホイルに包みゐて心一つをまとめむに似る
あらかじめ人の寿命は定まると聞き来て歩度のゆるむ思ひす
見のがしてゐることあらむセロリーの鮮度などにわがかかづらふ間に
売られゐるもののみに足る生活と思ひてをればバスの近づく
白粉花の折れ易き茎ほきほきと節から折りて児らのあそべる
琴を弾く埴輪見をればわが指に届かぬ弦のあるごとき日よ
畳の上に大き鋏のありにしが朝起き出でて何事もなし
口をあく扇形グラフ馬鈴薯をむくことなどもなくてすぎゆく
いつとなく死せる人らを責むるまでさかのぼりゆくわれの思ひは
列車よりも心馳せにき西へ向ふブルートレインもなくなるといふ
出奔の夜なりきわれは街灯に次々に照らされて駅へ急ぎき
ラベンダーより色濃き花と見てありて詳しく知れることも少なし
左右より木立の欝は迫り来てまたさしかかる峠のごとき