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さいたま市立大宮図書館/おおみやデジタル文学館 ―歌人・大西民子―
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全短歌(10791首)(資料グループ)
去年の港(目録)
/ 11652ページ
目録ID
ku016009
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去年の港
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短歌新聞
タイトル関連(カナ)
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/ 11652ページ
関連目録
短歌新聞
去年の港
忘らるるより忘るるは易からむ白き孔雀のごとき雲湧く
街路樹に風の凪ぐときへだてあひ個々の影置く篠懸の木は
等量の言葉持ちあひ寄りし日はアガパンサスもはじけて咲きし
身一つを養はむのみに炊ぐ朝オートミールは香に立ちて煮ゆ
一つ一つのうすくれなゐよ窓明けて南天の花の盛りにあへば
新しきパナマのクッション縁反りて遠きいづこの草の匂ひか
原色のままの黄色を画布にのせ向日葵を描かむ夏は来向ふ
負傷兵がはだしにて帰ることなどのなき夏ならめ平和といふは
背後より不意に叩かれしわが肩の人に知られぬ空洞の音
タグボードばかり次々帰りにきわれはまだゐる去年の港に
足裏に踏むものなべて固き道いづこにかまた死の臭ひする
燃料を如何ほどか使ひワイパーも徒労の如し雨のしげきに
面変りせる人のことなど今見たる夢を忘るるごとく忘れよ
どの橋を渡りても帰る家一つ車まかせに雨の夜をゆく
感情の嵐に巻かれてゐしのみよ梔子の八重も錆びつつ終る
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短歌新聞
去年の港
忘らるるより忘るるは易からむ白き孔雀のごとき雲湧く
街路樹に風の凪ぐときへだてあひ個々の影置く篠懸の木は
等量の言葉持ちあひ寄りし日はアガパンサスもはじけて咲きし
身一つを養はむのみに炊ぐ朝オートミールは香に立ちて煮ゆ
一つ一つのうすくれなゐよ窓明けて南天の花の盛りにあへば
新しきパナマのクッション縁反りて遠きいづこの草の匂ひか
原色のままの黄色を画布にのせ向日葵を描かむ夏は来向ふ
負傷兵がはだしにて帰ることなどのなき夏ならめ平和といふは
背後より不意に叩かれしわが肩の人に知られぬ空洞の音
タグボードばかり次々帰りにきわれはまだゐる去年の港に
足裏に踏むものなべて固き道いづこにかまた死の臭ひする
燃料を如何ほどか使ひワイパーも徒労の如し雨のしげきに
面変りせる人のことなど今見たる夢を忘るるごとく忘れよ
どの橋を渡りても帰る家一つ車まかせに雨の夜をゆく
感情の嵐に巻かれてゐしのみよ梔子の八重も錆びつつ終る