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さいたま市立大宮図書館/おおみやデジタル文学館 ―歌人・大西民子―
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全短歌(10791首)(資料グループ)
椿一本(目録)
/ 11652ページ
目録ID
ku041001
タイトル. 版. 巻次
椿一本
タイトル. 版. 巻次(カナ)
タイトル. 版. 巻次(ローマ字)
タイトル関連
現代短歌シンボジュームテキスト
タイトル関連(カナ)
タイトル関連(ローマ字)
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/ 11652ページ
関連目録
現代短歌シンボジュームテキスト
椿一本
椿の木に変へられてなほ生きたきに日々に重たし諸手の花は
次々に切り倒さるる木々の中苦しむために切り残されむ
花咲けるゆゑに一本残されてまともに風を浴ぶる木となる
スパイクのままわが幹をよぢ昇る児よ下枝を撓めて待てば
脅えやすき少女のために夜の雪墜堪へてゐたりき行き過ぐるまで
月よりも星よりも太陽の美しさ生れ変りし木にて知りゆく
逢はむためてだて選ばぬ若者がわが幹に彫る隠語めく文字
やみがたく伸ばす根いつか亡骸の母の頭蓋を砕く日あらむ
変生の後に届きし手紙にて取り返しのつかぬことばかりなる
色盲を見破られ来し少年に仰がれて褪せしわが花の色
幽明をさまよひゆけばたをやかにありけむマルグリータも老いぬ
風のなき夜は花粉も漂ふと垂れつつ月に照る葉翳る葉
犠牲死を聴きしかの日の耳のまま幹に貼りつき疼く瘤あり
<落ちざまに水こぼしけり花椿>芭蕉を超えず木となりてなほ
風を得て一夜にわれのこぼす花貧しき町の子らが拾はむ
殺戮の跡のごとしと呟けり義足にわれの落花踏みつつ
人間に戻らねば遂げ得ぬことに次第に醒めてゆく心あり
濫伐のあとの切り株よごれゆく日々ひこばえに若葉そよげり
たえまなく電話鳴る部屋一輪の椿を額に挿して働く
しげりあふ枝葉かかげて年を経ししびれは長く四肢に残らむ
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現代短歌シンボジュームテキスト
椿一本
椿の木に変へられてなほ生きたきに日々に重たし諸手の花は
次々に切り倒さるる木々の中苦しむために切り残されむ
花咲けるゆゑに一本残されてまともに風を浴ぶる木となる
スパイクのままわが幹をよぢ昇る児よ下枝を撓めて待てば
脅えやすき少女のために夜の雪墜堪へてゐたりき行き過ぐるまで
月よりも星よりも太陽の美しさ生れ変りし木にて知りゆく
逢はむためてだて選ばぬ若者がわが幹に彫る隠語めく文字
やみがたく伸ばす根いつか亡骸の母の頭蓋を砕く日あらむ
変生の後に届きし手紙にて取り返しのつかぬことばかりなる
色盲を見破られ来し少年に仰がれて褪せしわが花の色
幽明をさまよひゆけばたをやかにありけむマルグリータも老いぬ
風のなき夜は花粉も漂ふと垂れつつ月に照る葉翳る葉
犠牲死を聴きしかの日の耳のまま幹に貼りつき疼く瘤あり
<落ちざまに水こぼしけり花椿>芭蕉を超えず木となりてなほ
風を得て一夜にわれのこぼす花貧しき町の子らが拾はむ
殺戮の跡のごとしと呟けり義足にわれの落花踏みつつ
人間に戻らねば遂げ得ぬことに次第に醒めてゆく心あり
濫伐のあとの切り株よごれゆく日々ひこばえに若葉そよげり
たえまなく電話鳴る部屋一輪の椿を額に挿して働く
しげりあふ枝葉かかげて年を経ししびれは長く四肢に残らむ