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さいたま市立大宮図書館/おおみやデジタル文学館 ―歌人・大西民子―
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全短歌(10791首)(資料グループ)
旅のあとさき(目録)
/ 11652ページ
目録ID
ku056017
タイトル. 版. 巻次
旅のあとさき
タイトル. 版. 巻次(カナ)
タイトル. 版. 巻次(ローマ字)
タイトル関連
朱扇
タイトル関連(カナ)
タイトル関連(ローマ字)
欧文タイトル
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編著者
編著者(カナ)
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/ 11652ページ
関連目録
朱扇
旅のあとさき
妥協のみ繰返しゆくわが日々よ思へば今日もよく笑ひたり
聲あげて母よと呼びたき時のありわが寂しさは夫にも響かむ
亂れゆく君が生活に脅えつつ身の去就さへ定め難けれ
焦點を故意に外して言ひ合へば夫も他人のひとりの如し
薄荷の匂ひ少し嗅ぎなば眠れむと當なき思ひしつつ覺めをり
長き未來に計りて去就定めよと言はれし事も身に沁むるなり
泣き明かし諦めややに得し我かたんねんに朝の米をとぎをり
今朝は稍立ち直りたるわが心野ばらの唄歌ひて勤めに行かむ
よるべなきこころのままに出づる旅よ小型聖書も鞄に入れつ
單調にひびく獅子舞の笛の音も旅のこころにくひ入るごとし
道のへの草に埋れし塔婆にも百合を手向けて過ぎむとぞする
無斷にて出で來し旅の小氣味よさもいつか寂き悔となりつつ
崩れたる古墳をめぐれる濠のあと白鷺幾羽下りてまた飛ぶ
風にとぎれて賛美歌の流れくる窓よ丘の裾より霧ははれゆく
歸るべき家のなきごと虚しかり遠くまたたく街のほかげよ
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朱扇
旅のあとさき
妥協のみ繰返しゆくわが日々よ思へば今日もよく笑ひたり
聲あげて母よと呼びたき時のありわが寂しさは夫にも響かむ
亂れゆく君が生活に脅えつつ身の去就さへ定め難けれ
焦點を故意に外して言ひ合へば夫も他人のひとりの如し
薄荷の匂ひ少し嗅ぎなば眠れむと當なき思ひしつつ覺めをり
長き未來に計りて去就定めよと言はれし事も身に沁むるなり
泣き明かし諦めややに得し我かたんねんに朝の米をとぎをり
今朝は稍立ち直りたるわが心野ばらの唄歌ひて勤めに行かむ
よるべなきこころのままに出づる旅よ小型聖書も鞄に入れつ
單調にひびく獅子舞の笛の音も旅のこころにくひ入るごとし
道のへの草に埋れし塔婆にも百合を手向けて過ぎむとぞする
無斷にて出で來し旅の小氣味よさもいつか寂き悔となりつつ
崩れたる古墳をめぐれる濠のあと白鷺幾羽下りてまた飛ぶ
風にとぎれて賛美歌の流れくる窓よ丘の裾より霧ははれゆく
歸るべき家のなきごと虚しかり遠くまたたく街のほかげよ