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目録ID ku061005
タイトル. 版. 巻次 無数の耳
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短歌研究
無数の耳
かすかなる時報互に聴きわけて遅速異なる時間持ち合ふ
切り株につまづきたれば暗闇に無数の耳のごとき木の葉ら
耳たぶの小さき黒子を禍根とし朝々われは髪もて覆ふ
装ほへるよろこび淡く雨傘の輪をずらしつつ従ひゆきぬ
芝焼きし痕のまだらに注ぐ雨囮の雌も鎮めて待たむ
立体を取り戻しゆく夜の心くるめくやうなワルツを弾きて
みづからの呼び醒ましたる潮騒にゆれ出す壁画のなかの破船も
抽象に流るるわれを堰くごとく鉢傾けて灰汁こぼしゐる
地下深き震源を伝ふる夜半の声枕にオーデコロンが匂ふ
温床のパイロットランプ吹き消して来し悔いをふと点すに似たる
拭ひ切れぬガラスの曇りわが持てる歪みも触れて痛まずなりぬ
菊石のおのおのが持つ輪郭を踏みつつぼけてゆく指点あり
指先の繃帯うすくよごれゐて午後の会議の次第に疎し
圧点を知られしごとき危ふさに油絵のなかのわれと向き合ふ
重心が迫り上げられて苦しきに間を置かず来る製材の音
きりのなき仕事区切りて中心がくぼむ朱肉も机にしまふ
森を抜けてのがるる如く帰りしが眼裏に白き一枚の沼
花栗の香の吹き溜まる夕まぐれ埴輪の巫女の唇うごく
夜の駅の伝言板に溢れゐる文字声なして響むことあり
切り口より垂るる血のごと脈打ちてタール吐きゐる土管ありたり
野の隅に積まれ久しきドラム罐土橋を渡るをりふしに見ゆ
自転車を土手に寝かせて人憩ふ萱草の花もやがて開かむ
水滴を垂れつつ尖りゆく氷柱暗示にかかる如く見てゐつ
山々の雌雄をつなぐ物語旅の一夜のつれづれに恋ふ
麦の穂のかすかに白き花まとふ野を傾けて過ぎゆく疾風
円心に沈みゆく身を幻覚に光る波紋のひろがりやまず
中傷の文字読みしあと硝子戸に映れるわれはゆらゆらと起つ
円筒の太き脚もて立つ埴輪われは踵を返すほかなく
生け垣を透かして歩むわれの影引き裂かれたき心が還る
とめどなく降る売子木の花見つつゐて芯の重みに堪へ得よわれは