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(六八)一音顯澄

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 顯澄字は一音、俗姓木村氏、慶長二年十二月攝津の生玉に生れた。(一説に和泉ともいふ)【剃度】【堺寓居】十一歳、高野山釋迦文院の宥成阿闍梨に就いて剃髮し、廣澤華嚴院に登り、既にして堺に寓居した。【廣澤流を究む】爾來益々密教の玄奧を究めんとし、京洛の諸大寺に入りて道を硏め、槇尾平等心王院の比丘惠燈の法を繼ぎ、遂に悉く廣澤流の根柢を究めた。是より諸方に聘せられて密法を修し、或は經書の補校に力を用ひ、仁和寺及び高野山の文庫に入つては、數千卷の經書を修綴した。【法住菴に隱栖】晚年河内に法住菴を建てゝ、隱栖し、延寶六年二月十三日享年八十三歳を以て示寂した。(續日本高僧傳卷第十一)