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(八二)便譽

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 【玄恕の孫弟】便譽諱は卽同、江戸增上寺に入つて得度した。卽ち玄恕の孫弟で、大恩寺光譽の法嗣である。性淳朴清廉、豫て禪律の道行を學び、遂に增上寺を出でゝ游歷し、近畿に來つて堺旭蓮社を訪ふた。【旭蓮社二十二世】時に同寺には住持なく、便譽玄恕法孫たるを聞き、山内の衆僧住職たらんことを請ひ、遂に同寺の第二十二世となつた。【堂宇再興紫衣復舊】斯くして殆ど廢絶に瀕した堂塔を興し、又紫衣の着帶永く忘られたるを憂ひ、元祿九年五月江戸に下り、寺社奉行戸田能登守に上書し、願意を聽許せられ、翌十年正月始めて江戸拜禮の儀を終つて歸山した。住職三十七年、享保九年七月十三日世壽六十七歳を以て遷化した。(泉州堺旭蓮社緣起