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(二八九)西村宗全

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 西村宗全通稱は善五郞、【祖先】祖父を宗印、父を宗禪(一に宗善に作る)といふ。宗印は大和西の京の人で、土風呂(今奈良風呂といふ)及び春日神社祭器製作を業とした。【宗禪堺に移住す】宗禪に至り堺に移住し、鼎師の印を用ひ、專ら土風爐を製して、世に賞用せられた。(工藝鏡卷二)宗全上京し下京天神辻子に住み、細川三齋、小堀政一等に用ひられ、三齋の勸めにより、室町頭に徙つた。今其地を、俗に風呂辻子と稱すと。(州府志)宗全父祖の衣鉢を受けて、【土風爐の製作に長ず】土風爐の製作に長じ、茶人競ふて其製品を使用するに至つた。押すところの銅印は、小堀遠州の筆になるといふ。元和九年二月二日歿した。【弟宗次郞】弟宗次郞(一に宗四郞に作る)も亦土風爐の製作に長じ、豐臣秀吉より天下一の稱號を許されたが、後將軍德川秀忠より稟米を給せられ、終に江戸に移住した(工藝鏡卷二)