常安寺は心光山と號し、【位置】熊野町東五丁字禪通寺筋にあり、淨土宗知恩院末、寺格能分五等。【沿革】往昔心光山觀音寺と號し、塔頭八坊を有する大伽藍であつたが、退轉して慶長中には唯纔に本坊觀音寺と、殆ど名目丈けの塔頭白庭菴を存するばかりであつた。同十二年融譽淨圓を重興開山とし、豐臣氏の遺臣金田常安、觀音寺及び白庭菴を合せて一寺を建立し、始めて常安寺と號し、元和燒失後、同二年常安の嫡男政守再興して今日に至つた。【本尊】本尊は阿彌陀如來、觀音、勢至の兩脇士と共に、慈覺大師の作と傳へられ、舊白庭菴の本尊であつた。(明治三十五年寺院提出書類)【堂宇】本堂、庫裏及び觀音堂あり、(社寺明細帳)【腹帶觀音】平安朝の遺作と思はるゝ俗稱腹帶觀世音菩薩を安置して居る。