定山渓層群(白水川層)は薄別川流域とその支流の白水川流域に分布する地層で、豊平川流域の新第三紀層で最も古い(約二三〇〇万年前)地層である。全層を通して各種の火山岩類や火砕岩類で構成されている。この地層の層序から、この地域に起こった当時の火山活動は、溶結凝灰岩や石英安山岩の噴出で始まり、続いてプロピライト(*3)や緑色凝灰岩などの生成、そして、玄武岩の噴出を経て、流紋岩質の活動で終わっていることがわかる。
この時期の活動は、最初に、溶結凝灰岩(*4)が噴出していることから、そこが陸域であったと推定される。すなわち、それまで、大陸の縁辺部として安定だったこの地域も地下深部の大規模な変動により、陸域も破壊され激しい火山活動の舞台と化してしまったことを物語っているのである。定山渓層群はまさにグリーンタフ変動のはじまりを語ってくれるものなのである。
*3 プロピライト 安山岩・石英安山岩およびその火砕岩が熱水により変質した岩石。第三紀の熱水鉱脈の金銀鉱脈・銅鉱脈などの母岩に多い。変朽安山岩ともいう。
*4 溶結凝灰岩(ようけつぎょうかいがん) 火砕岩の一種で、構成する火砕物が堆積当時高温を保っていたため、構成物の軽石や火山灰が溶かされてお互いに結合(溶結)したもの。その大部分は火砕流の一部分をなしている。堆積物の自重により圧密され、気泡が消失し固化する。その時、軽石が引き延ばされたり、緻密な火山ガラス質岩(黒曜石)が形成される。溶結凝灰岩の上・下部は非溶結の火砕流堆積物となる。