表-3 下野幌層の花粉化石帯
北海道に現在分布するトウヒ属には、エゾマツとアカエゾマツがあり、モミ属はトドマツである。また、ツガの仲間は、現在、北海道には分布していないが、日本列島には、福島県を北限とする温帯域のツガと、青森県の八甲田山や中部山岳地帯にみられる冷温帯北部~亜寒帯のコメツガとの二種類が自生している。下野幌層からのツガ属の花粉化石は、共伴する花粉化石から考えておそらくコメツガである。したがって、下野幌層が堆積した時期はエゾマツとコメツガで代表される冷温帯北部から亜寒帯の気候で、現在より冷涼であったと推定される。
写真-6 ツガ属の花粉
(直径80ミクロン)