表-4 前-中期更新世の地史総括表
鮮新世末期から前期更新世初期(二〇〇万年前、前後)にかけては、火山活動は西側陸地部に移行し、多量の溶岩を噴出させるが、それにともなう上昇運動も激しくなったと考えられる。いっぽう、東側の海峡の海底は沈降運動が支配的であり、この時期には、現在の野幌丘陵域から石狩丘陵域に延びる堆積盆地が形成され、そこに裏の沢層や石狩丘陵にみられる材木沢層などが堆積したのである。
裏の沢層からの化石資料は少ないが、花粉分析資料によると、本層の中部層は広葉樹の花粉が優勢で、針葉樹のトウヒ属やモミ属が少なく、同じ針葉樹でもスギ科の花粉を含んでいる。この事実から判断すると、裏の沢期の前半は比較的温暖な気候であったと思われる。後期になると、トウヒ属やモミ属が優勢となり、カラマツ属も出現してくるので、気候は次第に寒冷にむかったと推察できる。
裏の沢層の堆積末期になると、西方山地の火山活動も終息し、比較的に静穏な状態に入る。しかし、裏の沢層の堆積盆地は、西側山地の上昇運動に呼応し、複雑な上・下運動をともないながら、西へ少しずつ移動していき、一時的な堆積の休止期に入る。