扇状地末端部に位置する札幌ビールエ場や北大医学部で掘削した水井戸の地質柱状図を(図10)をみると、ビール工場では深度六一・三メートルのところに厚さ約一・五メートルの泥炭層があり、北大医学部でも深さ五四メートルのところに厚さ二・一メートルの泥炭層がある。これらの泥炭層の深度の差は、ほぼ地表の標高差によるもので、同一の層準のものとみなしてもよい。このように、扇状地の末端部では、泥炭層が扇状地堆積物の基底となっており、それより下位の粘土層は、前~中期更新世の下野幌層に相当するものと考えられる。扇頂部では、真駒内付近に鮮新世の西野層が露出しているので、扇状地の基盤には西野層が潜在しているのであろう。
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図-10 札幌扇状地の堆積物柱状断面 |
また、上・下二層に区分された砂礫層の特徴をみると、下部は細粒の砂礫であるのに対し、上部は粗粒の、とくに最上部の厚さ十数メートルの部分では大礫を交える砂礫層となっている。なお、表層は、厚さ二~三メートルの黄褐色ロームまたは砂質粘土層となっている。
このように、札幌扇状地は五〇メートルを越える厚い砂礫層からなり、それが先に述べた水の貯蔵庫となっているのである。しかし、それは全体として一様な透水体ではなく、高透水部と低透水部が立体的に交錯しており、とくに高透水部は、地質条件からもわかるように、深度三〇メートル以浅の上部層なのである。