擦文文化は、八世紀から一三世紀頃にかけて、北海道全域と東北地方北部にひろがった文化である。擦文文化には、刷毛目のような整形痕がつけられた「擦文式土器」をはじめとして、造りつけのかまど(竃)がある方形の住居、紡錘車・鉄製品などの各種の生活用具、雑穀を中心とした農耕技術、そしてその初期にみられる北海道式古墳など、東北地方の末期古墳文化(奈良時代頃併行)から取り入れた新しい生活様式や道具が数多くみとめられる。
この擦文文化は、その終末段階に道東北の海岸線地帯に分布していたオホーツク文化と接触・融合し、その後のアイヌ文化の原形になったと考えられている。