何れ書中丈ニては不砕(粋)にも有之、得(篤)と届候哉モ難計ニ付、不得止犬塚氏遠遊之念慮を絶チ、為国家差急キ促帰程、御目ニ掛り得と場所其外之図合御聞被成度奉存候。
ここで義勇は、書簡では不安なので、与七郎を急ぎ帰国させ、詳細を直接に報告する旨を伝えている。他に帰国理由を隠したのも、ここに原因があった。他藩の動向をにらみ、自藩の目論見をかくしながら、分領地の争奪合戦がくりひろげられていたのであった。
③は蝦夷地の廻浦が終了したことを報告しつつも、「委細」は書状では「太取紛(はなはだとりまぎれ)」、「不図合之義も有之」ので、面会の上でと述べ、他藩への情報もれを恐れていた。④は箱館の様子等を述べ、「蝦夷地一体之義に付、追て御拝姿委細に可申上候」と追伸でのべ、具体的な言及はさけている。