これによって在住制の整備は急速に進んだ。安政二年四月の箱館奉行から老中あての伺に、在住対象者は五〇〇石以下御目見以上(将軍に謁見できる家格)、以下とし、かつ箱館奉行所役人の定員外とし、さらに御手当扶持および御手当金を元身分に応じて支給することが決定された。また同月、在住中の切米扶持・知行米の給与方法、借財返済方法の細部など実務処理のほか「自力を以荒地開墾等仕度見込有之候ものえは、地所割渡し、成功に随ひ望候丈之地所相増、在住中は被下切ニ相心得候様」(同前)と、在住が自費で開墾した場合、その地所を在住に付与することが定められた。
ついで同年七月の、箱館奉行からの伺に基づいて、元身分に応じた在住手当・引越料等が定められ、開墾地の付与等についても、「望之地所相渡し、仕付行届候ハヽ、追々何程も割増、永久其ものえ被下置、追て作物之出来方ニ寄り、五年七年乃至十年も鍬下相免し(免租し)候上、御取箇(年貢)御収納可有之候」(同前)と、年貢の収納に至るまで、具体的に述べている。この上申について老中からは、最初に入地する者は人選第一とし、「亀鑑ニも相成候程之もの共」をまず二〇〇人も取り調べるよう指示された。