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第四回配本にあたって

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[桂 信雄]

札幌市長 桂 信雄
 ここに『新札幌市史』第二巻(通史二)を刊行いたします。いままでに「史料編一」「史料編二」「通史一」を刊行してまいりましたが、本巻は開拓使によって札幌の本格的な都市建設がはじめられ、道庁設置後は道都としての地位を確実にしていく期間を叙述しております。都市札幌の基礎が作られ、自治都市札幌の前史の時代でもあります。
 戦後の札幌市は、日本の高度経済成長とともに発展を遂げました。『新札幌市史』の刊行は、その発展の仕上げとして、また札幌創建一二〇年の記念事業として手掛けているものであります。成長都市札幌の歴史を明らかにし、次の時代の更なる発展の糧を生み出そう、という考えのもと刊行をはじめたものであります。
 また本巻は、札幌の歴史書としてはじめて歴史学研究の成果を取り入れたものであり、札幌市民への正確な歴史書の提供だけでなく、専門家の研究のためにも寄与できるものと自負しております。特にこの事業の過程で行われている史資料収集は広範囲にわたり、また膨大なものとなりつつあり、今後市民の歴史研究・学習に寄与するものとも考えられ、市民文化としての『札幌の歴史』が生まれる基礎作りともなっております。これらの成果を踏まえた更なる札幌の歴史文化の発展を祈願するものでもあります。
 しかし、昨年六月に編集長の高倉新一郎先生が急逝されたことは、札幌及び北海道の文化にとって大きな損失でありました。市史編集にとっても痛手でありましたが、先生のご遺志を引き継いだ市史編集員の努力のもと、本巻の完成をみることができました。
 また、市史編集のためにご協力いただいた、北海道立文書館をはじめとした諸機関、個人の方々に、末筆ながら深くお礼申し上げます。
   平成三年十月