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市中不況への対策

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 そこで金井は先の上申書で、その状態への対策として市中往来の修復を上申している。開拓地の不況の解決は公共投資の増額である。それによると「毎一町或軒別ニ分割シ、官員ハ営繕開墾両課ニ於テ時々巡見シ、怠惰ヲ糺シ候ヘハ、此費用悉皆小民ノ有益ト相成、市中ノ形勢一変、目途モ相立」であろうとしている。そのため不況の実態をさぐるため、松本は六月十三日に開墾掛前田権大主典に「市中脱走等至急に取調」を指令して、出稼人や脱走者や空家などを調査させた。この実態調査の結果、永住の目的がたたないもの一四人も判明している(札幌滞在事務取扱備忘誌)。他に市中極貧者や市中の商い高なども調査している。さらに開拓は今年限りという噂がたっていたため、無根の浮説であるから安堵するように市中へ達している(開拓使布令録)。