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庶民金融

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 当時の銀行は、官金を利用して土地、家屋、水産物などを担保に貸付する程度であった。一般の庶民や商工業者に対する金融は、無尽質屋、高利貸であった。無尽はかなり一般に行われていたようである。一人で数個の無尽に加入するものもあった。また親睦会と称する一口五〇円掛の大口無尽等も行われていた。しかし無尽講は払込を滞らせ、あるいは脱落者があると全員に迷惑が及ぶので良好なものではなかったとされる。ほかに資金供給の一つとして高利貸があったが、当時婦人欠乏の時であったため、債務者の妻を連借人とし、債務不履行の場合はその妻を奪う者もあったという。また当時行われた俗称「烏金」といわれた小口高利貸は、一口三分~四分の高利を毎日徴収し、一カ月の利子を加算すると元金を越す状況であった。