前述したように、日清戦争の戦況を知る手段に、新聞のほかにさらに事実を生々しく伝えたのが普及しはじめた幻灯機を用いての戦況報告会であった。戦争の火ぶたが切られて四カ月目の二十七年十一月、北海青年義俠会主催による「報国慈善日清事件大幻灯会」が金沢亭で開催された。入場料は大人五銭、軍人・子供三銭で、入場料の半分が軍資献金にあてられた。
時期を同じくして札幌基督教会を中心とする札幌青年会が、大黒座で「報国恤兵第二回日清事件大幻灯会」を開催した。内容は「平壌黄海ニ於ケル我軍ノ大勝利」、「威海衛攻撃及ビ九連鳳凰陥落ノ実景数十種」で、「写真画ハ見ル者現場ニ在ルノ感在ルベシ」と宣伝した。この収入の半分も軍人旅費遺族救恤費にあてられた。さらに村々においても幻灯会が催され、大人から子供まで居ながらにして戦況の一端に触れることができた。