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衛生観念と都市景観

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 札幌の都市建設には、さまざまな意識の中にやはり官民共通の思想があった。その一つが、都市問題としてクローズアップされるゴミ処理などの衛生問題がある。
 札幌区では、春秋や臨時の清掃法施行、『札幌区汚物掃除規程』(明34制定)と、それにともなう掃除監視人の任命、衛生組合の組織化など、街の清掃美化や衛生観念の向上を図った。
 この衛生観念についての指摘は様々あるが、新聞紙上にあらわれたものをいくつか紹介しよう。上白石村にあった札幌区の業者の屠畜場と村民との衛生上の問題で、屠畜場が平岸村の人家から離れたところへ移転しようとした(道毎日 明33・6・5)。西八丁目中央道路はゴミ捨場のようになっていたが、取締まりが申請された(道毎日 明33・7・5)。北四条東二丁目、北五条東二丁目裏長屋、北八、九条東一丁目の街路や家屋脇へのゴミの投棄問題と、そのために夏期の悪疫発生のおそれを指摘した(道毎日 明34・3・13)。これらの指摘から、行政側はゴミ捨場を市街地外へ設定したり、清掃を怠るものへの罰則で対応したり、ゴミ焼却炉の設置や増設などの対応を示した。しかしこれらを新聞紙上で指摘するということは、区住民の衛生観念が不十分であることを示すものでもある。
 この衛生観念は、街を清掃美化するという点などで、札幌の都市景観に与える印象を整備するものである。