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職業紹介所

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 民間による職業斡旋業は、明治二十年代から札幌に十数カ所散在していた。しかし、有料である上にかつ信用度の低いものも少なくなかったので、職業を失った者、新たに職業を求める者に対し、職業を安定させるためにも適切な紹介機関が望まれた。
 公的機関による職業紹介事業は、四十二年政府が六大都市に補助金を与え、その設置を奨励したので、四十四年東京市がこれを市内三区に設置、これが公共団体による設立の最初となった。
 第一次世界大戦後、大都市では特に職業の安定が緊要のものとなり、十年職業紹介法が公布され、さらに十二年職業紹介事務局官制が制定されて国家機関による職業紹介制度が確立するにいたる。
 札幌においては九年二月、区立職業紹介所規程を設け、四月より第一公設市場事務所内に職業紹介事務を付設した(大正九年区会議決事項綴)。職業紹介所は開設以来好評で、三八日間で五一人に職業を紹介し就職させた。そのおもな職業は、料理店の番頭、看護婦、製麻女工、ミシン徒弟、タイピスト、行商、小使、事務員といった類であった(北タイ 大9・5・14)。ちなみに、大正九~十二年の職業紹介件数を掲げると表10のごとくで、年々増加傾向にあった。
表-10 職業紹介所紹介件数
求人数求職数紹介成績
大9125人75人200人300人44人344人194人39人233人
 105301386683812941027823301
 1111346159601575411253
 121594415200910581311189978991077
1.大正9・10年は,10月より翌年9月まで。
2.大正11年は,市制施行の8月より12月まで。
3.大正12年は,1月より12月まで。
4.『札幌区事務報告』『札幌市事務報告』より作成。