ビューア該当ページ

娼妓の賦金

575 ~ 576 / 915ページ
 賦金とは、貸座敷営業主と娼妓の賦金とがあり、貸座敷の場合は抱入れの娼妓数により等級が、また娼妓の場合は一日の揚り高により定められ、両者共に地方税中の雑種税として徴収されるものであった。三十四年十月北海道庁は、税額増加を図って「貸座敷娼妓賦金規則」を改正した。それによると、一等貸座敷営業主(娼妓一〇人以上)は月額六円、二等(同五人以上一〇人未満)は同五円、三等(同五人未満)は同四円となっていた。また娼妓の場合、一等(揚代金七五銭以上)月額二円、二等(同五〇銭以上七五銭未満)同一円五〇銭、三等(同五〇銭未満)同一円となっていた(北タイ 明34・10・25)。これは三十六年四月の改正でさらに増額され、貸座敷営業主の場合はそれぞれ一円ずつ、娼妓の場合はそれぞれ五〇銭ずつ増額された。さらに三十九年十一月、道会予算委員会は地方税収入の増加を図って、貸座敷営業主と娼妓の賦課税率の引上げを検討、これをめぐって「娼妓増税反対運動」が海派(水産派)・陸派(農産派)に分かれて起こった。結局十二月の道会で、貸座敷楼主の負担を重くし、娼妓の賦金は一等二円五〇銭、二等二円二五銭、三等二円と、もっとも娼妓数の多い三等を増額することで決着をつけた(北タイ 明39・11・21、12・6)。
 このように、貸座敷と娼妓数の増減、遊客人員や遊興費(表12参照)は、即地方税の収入源を大きく揺さぶることでもあった。実際三十八年度納付予定の全道の地方税額八万八〇〇〇余円のうち、札幌・小樽・函館三区の貸座敷・芸娼妓の地方税合計額は三万七八二四円にのぼったため、当時の新聞は「其他全道各地方の芸娼妓を合せは殆んど右三区の倍数に達すべく、芸娼妓は地方税の好財源と」まで書き立てるほどであった(北タイ 明38・7・1)。