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「類似宗教」と宗教弾圧

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 五年七月に道庁が「宗教類似行為者」の調査を実施したが、これに対して札幌市では公許を受けていない誠光教富成教会(大通西9、信者約六〇人)、神道真心教札幌支部(南11西8、会員四〇人、信者三〇〇人)の二教会をあげて回答していた(社寺関係書類 昭5)。さらに十年四月に道庁が「類似宗教」を調査した結果によると、道内の大本教支部六〇(会員二〇〇〇人)、札幌では先の誠光教支部、神道真心教支部があげられていた(北タイ 昭10・5・17)。宗教団体法の制定に向けて、政府は「淫祀邪教」の取締り、「類似宗教」の監督権を強化していたが、特に国体観念に牴触する恐れのある宗教団体については干渉を加え、特に大本教及びひとのみち教に対しては徹底的な弾圧を加えていった。
 大本教は昭和三年八月に出口王仁三郎が来札し、十五日に「大本教の使命につき」と題し講演をしていたが、当時大通西八丁目に大本祥瑞会支部があった(北タイ 昭3・8・14)。大本教の外郭政治組織である昭和神聖会の札幌支部も十年五月一日に発会式が行われていた。大本教本部への弾圧は十年十二月に行われたが、道内では十一年三月三十日に山部村(現富良野市)に所在する北海分院ほかの撤去命令が出されていた。この頃、札幌にも約二〇〇人の信者がおり「転向」を余儀なくされていた(北タイ 昭11・4・1)。
 ひとのみち教団の札幌支部は、十年六月に創立事務所が北一条東二丁目に設置されており、十一月三日に支部が設置となり支部霊遷座祭が行われていた。十二年四月二十八日にひとのみち教団が結社禁止処分にあい、札幌支部も五月四日に函館、小樽支部とともに設置取消処分となった。札幌支部には当時、五〇〇人の信者がいたという(北タイ 昭12・4・30)。