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会社の動向と資本蓄積

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 札幌に本社をもつ会社がどれほどあったのか、小樽、函館のそれと比較したものが表4である。大正十一年には会社数では小樽、函館、札幌の順となり、払込資本金総額では函館、小樽、札幌となり、いずれにしても札幌は三市の最下位であった。ところが、一九二〇年代の不況過程のなかで特に大正十四年に小樽、函館両市の資本金総額が激減したために、この間微減にとどまった札幌が首位に躍り出た。これ以後、函館は昭和十三年まで大正十一年水準を回復することなく低迷し、小樽は、昭和七年以降に伸びたものの、札幌の資本金総額急増がめざましく、昭和恐慌期の減少もわずかで昭和十三年まで他の二市を引き離している。このように函館の衰退と札幌の成長が対照的である。会社数では、小樽が一貫して多く、中小企業が多数存在することを示している。ちなみに一社当たりの平均資本金額は、大正十一年に札幌二三万九〇〇〇円、函館一四万五〇〇〇円、小樽八万七〇〇〇円、全道平均七万八〇〇〇円となっていた。
表-4 会社資本金額 (単位;千円)
札幌小樽函館全道
資本金額/会社数資本金額/会社数資本金額/会社数資本金額/会社数
大1125,99910926,17039041,828288146,8751,877
 1228,34010729,20744344,120285146,2681,865
 1336,14914727,85634044,517293153,8781,815
 1431,38712420,18125729,710206117,0191,467
 1535,15613323,87127130,047200124,1391,493
昭 239,55913824,83528037,809189143,6851,612
  344,15917029,92734631,396196147,8281,823
  451,89419931,48635835,147234161,1361,963
  546,59818432,41340125,704254146,7142,155
  648,04522934,02548327,360294151,1882,489
  751,10327144,37451028,789348166,6362,748
  851,59032343,04251129,571342169,2172,861
  955,47137044,59652430,036300178,8602,995
 1055,00040447,36155929,741313185,9053,142
 11  - -  - -  - -   -  -
 1261,01237851,35658237,046361231,2383,303
 1362,26037054,92558252,783356264,5143,165
各年『北海道庁統計書』より作成。

 札幌の会社を資本金規模別にみると、次のようなことがわかる。昭和十二年では三七八社中資本金五万円未満が二五〇社、五万円以上一〇万円未満三六社、一〇万円以上五〇万円未満六四社、五〇万円以上一〇〇万円未満一六社、一〇〇万円以上五〇〇万円未満一〇社、五〇〇万円以上二社となっている(各年の北海道庁統計書)。また、組織形態別には合資会社が最も多く二一六、次いで株式会社一一七、合名会社四四となっている。合資会社はそのほとんどが資本金五万円未満であった。このように会社の分布という点では札幌北海道最大の都市になっていたのである。