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北海道瓦斯株式会社の設立

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 札幌へのガス供給を目指す事業設立の請願は、明治末頃から起こっていた。しかし全道各都市で多数の競願者がいたため、明治四十三年道庁は一会社に各地のガス事業を統一させようとして、各出願人らで総代を選出して、八月十五日までに道庁へ出頭するように指令した。そこで函館・札幌・小樽三区に出願していた渋沢栄一らが、東京瓦斯(ガス)株式会社本社に会合して出願者の取りまとめを決めた。そして出願一〇団体のうち七団体をまとめ、九月一日久米良作を出願人代表とし、五九名連署で北海道庁長官へ出願した。十月二十一日には道庁から札幌・小樽・函館へのガス供給が許可された。そして四十四年六月二十九日、北海道瓦斯株式会社の創立総会が東京商業会議所において開かれた。この席で、取締役に高松豊吉久米良作鈴木寅彦園田実徳村山駒之助、監査役に肥田景之、奥田正香(辞退)が選出された。本店は東京瓦斯株式会社内において、会社設立の登記は七月十二日に東京区裁判所に申請した。
 ついで札幌の工場敷地として北四条東四丁目の利用を考え、その借用を申請し許可を得るとともに、十月には仮事務所を北三条西一丁目に設置した。翌大正元年九月には、仮事務所内に札幌支店と札幌営業所を設置したが、十一月には工場所在地に移転した。この間札幌では九月三十日、ガスの供給を開始した。大正元年中の引き込み申込数は二三五八戸、一万二三八四口、室内装置一七一六戸、八〇五九口、計量器取付一六〇八戸、コック開通一四二六戸、六六四一口であった。ガス製造量は三〇八万五〇〇立方インチ、またガス発生の副産物として生産されるコークスは二八万八〇五二斤であった。大正二年では表59のように、街灯三五、灯用七四〇戸、熱用一〇戸、灯熱併用二一九四戸となっており、後年熱用中心になっているのに比べると、圧倒的に灯火用であった。
表-59 札幌区(市)内のガス利用
街灯灯熱併用灯用熱用灯用熱用
大 2352,194戸740戸10戸11,889口2,939口
3742,3517791113,5523,188
41022,1708391513,6363,077
54001,9118381312,3492,845
6921,8877022411,7973,003
7971,9696373611,6993,290
8891,9225765111,3163,348
9521,7365145710,0993,299
10491,680506709,5333,529
11311,7554371099,5573,930
12211,8523692309,5004,616
13242,8243183429,2486,385
14212,8563205459,3966,396
昭 1141,9923666509,2437,298
291,7473137238,0987,518
381,5682011,4676,8049,126
461,3331312,0774,97110,361
531,2881202,7824,56912,824
61,1981033,1694,10013,866
71,099993,4303,70414,727
81,032973,5733,52915,542
9828224,0093,11316,266
10751224,2622,88617,284
11704174,5752,68418,436
12661164,8012,47519,419
13625144,9512,34519,795
札幌区統計書』『札幌市統計一班』(各年)より作成。