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四・一六事件

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 山本宣治暗殺に抗議し、三・一五事件の一周年に示威行動を計画した左翼労働運動(日本労働組合全国協議会)に対し、事前に特高警察は幹部拘束などの弾圧で臨んだ。札幌署では札幌一般労働組合の執行委員深谷作次郎桂良吉ら六人を「拘留十五日」に処している(北海道ニ於ケル左翼労働組合運動沿革史)。そして、四年四月十六日、再び共産党に対する全国一斉弾圧がなされ、北海道では一一五人が検挙され、三九人が送局、うち二五人が起訴された。札幌署では「特高豊田警部が札幌署野崎高等主任小野警部補等と協力し」、深谷ら二三人が検挙され(樽新 昭4・11・6)、一三人が公判に付された(札幌地裁全体では、小樽の七人と旭川の一人を含め二一人)。記事解禁となった十一月六日の『北海タイムス』は「思想係が独立して/最初の腕だめし/鮮やかな検挙ぶり」という見出しで、札幌地裁の黒川思想検事の談話を載せている。十二月十四日に下された第一審判決では、深谷が懲役四年、桂が同二年六月などとなった。