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『少年職業』の創刊

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 札幌少年職業指導協会は昭和十年二月、その機関誌として、小学校卒業者への「職業指導」に関する種々の情報を提供する『少年職業』を創刊した。創刊号には関崎不二夫(前出)の発刊の挨拶、水野常吉(文部省社会教育官・大日本職業指導協会幹事)、大瀧甚太郎(札幌商工会議所会頭)らの祝辞に加えて、赤坂連蔵(内務省中央職業紹介事務局)「少年の職業指導及紹介」、岡田忠著(前出)「小学校に於ける職業指導と職業紹介所との聯絡」など、小学校での「職業指導」の内容と方法に関する論説が掲載されている。

写真-8 『少年職業

 こうした論説は「職業指導」に関わる小学校教員を主たる読者として想定していたため、創刊号ばかりではなく毎号のように掲載され、同誌の構成上の大きな特徴となっている。また、同誌に毎号掲載されている就職した少年少女自身が執筆した体験談などは、小学生の進路の決定に大きな影響を与えたものと思われる。なお、同誌の正確な発行状況は不明な点が多いが、創刊年の昭和十年から年二回発行され、現時点では十六年三月二十五日に発行した第七巻第一号まで、その事実を確認することができる。
 同協会は十四年九月、財団法人職業協会札幌分会少年部に組織変更した。これは十三年の厚生省の設置と同時に、それまで内務省が所管していた職業紹介事業協会を財団法人職業会協会に改組し、各道府県単位に支会、各職業紹介所単位に分会をそれぞれ設置することとなった。札幌職業紹介所も財団法人職業協会札幌分会へと改組され、同協会は政府の方針に基づいて、それに類似する既設団体として札幌分会に統合された。同協会の権利義務や事業に関してもすべて札幌分会が引き継いだ(北タイ 昭14・9・26)。